本当の遠距離恋愛 1


 閉店。

 「後で少し残って」

 とママに言われ、帰る女の子たちを見送った。

 愛美はお客様とアフターへ。

 「おつかれさま」

 「おつかれさまでした」

 「紗希ちゃんのお陰で助かったわ!」

 「いえいえ、何のお役にも立ちませんでした」

 「ううん、会長さんとっても満足してお帰りいただけたわ」

 「それならよかったんですけど・・・」

 「ねえ、紗希ちゃん、これからも働いてもらえないかしら・・」

 「いえ、とんでもないです!」

 「会長さんも随分気に入ってたし、他のお客様も
  あの子は誰?あの子は誰?って聞いてくるのよ」

 「・・・・・」

 「もちろん、本業の仕事を一番に考えて、手のあいた日でいいから」

 「でも・・・」

 「また、考えて電話して!待ってるわ!」

 「はい・・・」

 「これ、少ないけどお給料」

 「ありがとうございます」

 「あの~ママお着物はどうしたらよろしいでしょうか?」

 「あ~その着物プレゼントするわ!お古で悪いけど」

 「いえ、とんでもありません!きちんとしてお返しにあがります」

 「いいの!たくさん持ってるし、同じ着物をそう何度も着れないし」

 「・・・・・」

 「紗希ちゃんの方がよく似合ってるから」

 「いいんですか?」

 「そのほうが着物も嬉しいんじゃないかしら」

 「ありがとうございます」