本当の遠距離恋愛 1


 「いらっしゃいませ!」

 10人の紳士が入ってきた。

 (会長さんかな?)

 するとママはその団体のお客様にかけより、
  「沢口様、お誕生日おめでとうございます!」

 と大きな花束を手渡した。

 (やっぱり・・・)


 「うん、ありがとう、ママ!」

 その10人の団体とママや他の女の子たちは奥のソファに腰掛けた。

 「会長さん、今日はごめんなさいね・・」

 「うん、アヤちゃんから電話もらったよ」

 「本当にごめんなさい。アヤちゃんの健康管理をしてあげられなかった
   私の責任です。」

 ママは深々と頭をさげた。

 「なあに、ママの責任じゃあないよ」

 と笑っている。

 (あの人が出来損ないの人だったら怒るか、その前に
  ドタキャンするだろうな・・・)


 そんなことを考えていると、

 「紀和ちゃん!こっち来て」

 ママの呼ぶ声が。

 しかし、紗希は気が付かない。

 紗希は紗希だからである。

 他の女の子が「咲ちゃん!」と呼ぶと、
  「はい!」と間違って返事をしてしまう。

 すると、ボーイさんが
 「紀和さん、紀和さん」
 と紗希の肩をたたく。

 「あっ!紀和だった!」

 「ママがお呼びですよ!」

 「あっ!はい!すみません」

 ボーイさんに促されママの元へと急ぐ。