「いい名前ですね」
「えっ?私の名前?」
「いや、はい、もちろんママさんの名前もそうですけど、
店の名前が・・」
「ありがとう」
「なんか神秘的で、でも温かい・・感じ・・」
紗希は本当にそう思った。
「ねえ、紗希、ママきれいでしょ?
私、ママに憧れてるの!」
愛美はママの腕に手をまわし、肩にしなだれかかった。
「うん、とっても」
これも本当にそう思った。
女がいうのもあれだが本当に美しかった。
「紗希ちゃんは病棟看護師さん?」
「はい、産婦人科です」
「まあ、大変でしょ?お産とか立ち会うの?」
「はい、大変ですけど産まれてくる命の瞬間に立ち会うと、
疲れなんか吹っ飛んじゃいます」
「そう」
ママは優しく微笑んで紗希の話を聞いている。
聞き上手とはこのことだ。

