本当の遠距離恋愛 1


 「いい名前ですね」

 「えっ?私の名前?」

 「いや、はい、もちろんママさんの名前もそうですけど、
  店の名前が・・」

 「ありがとう」

 「なんか神秘的で、でも温かい・・感じ・・」

 
  紗希は本当にそう思った。

 「ねえ、紗希、ママきれいでしょ?
   私、ママに憧れてるの!」

 愛美はママの腕に手をまわし、肩にしなだれかかった。

 
 「うん、とっても」

 これも本当にそう思った。

 女がいうのもあれだが本当に美しかった。

 
 「紗希ちゃんは病棟看護師さん?」

 「はい、産婦人科です」

 「まあ、大変でしょ?お産とか立ち会うの?」

 「はい、大変ですけど産まれてくる命の瞬間に立ち会うと、
  疲れなんか吹っ飛んじゃいます」

 「そう」

 ママは優しく微笑んで紗希の話を聞いている。

 聞き上手とはこのことだ。