すると向こうから見たことのある顔と、
もう1人、少し年配、年のころでいうと40歳ぐらいの
着物を着た2人組が歩いてくる。
(愛美だ!)
すぐにわかった。
紗希との距離はどんどん近くなる。
(知らん顔しようかな・・)
と思ったその時、
「あっ!紗希!」
(わあー・・・)
「あっ!愛美!」
紗希は見事なリアクションをとった。
「何してるの?」
愛美はニコニコしながら紗希にたずねる。
「う、うん・・買い物・・・」
紗希と愛美は適当な会話を交わし、紗希は隣にいる人に
頭を下げた。
すると愛美は、
「ママです」
と紗希に紹介した。
「あっ、こんにちわ」
紗希も挨拶をする。
「こんにちわ」
物腰の柔らかそうなママである。
「ママ、同じ病院で働いている紗希」
愛美は紗希をママに紹介した。
「ねえ、3人でお茶でもしない?紗希ちゃん時間ある?」
「は、はい」
返答に困りつい承諾してしまった。
紗希は2人の後を付いて行く。
ママはとても美人で上品な人だった。
六本木のママとは雰囲気が違う。

