本当の遠距離恋愛 1


 紗希は人には話してないが、昔、六本木で働いていたことがある。

 水商売の大変さはイヤというほど知っていた。

 看護大学在学中にバイトをしていた。

 愛美も含め、他の学生たちはわりと家が裕福だったため、
  学費は親に出してもらっていたが、
  紗希の家は、弟の大学進学の費用で精一杯だった。

 そのため六本木でバイトをしながら自分で学費を払っていた。

 
 大学の講義が終わるのが16時、そこから仕度をして出勤。

 お酒を飲み、酔った客の相手をし、帰って宿題。

 睡眠時間は3~4時間。

 それだけならまだいい。

 嫌な客との同伴、アフター。
 指名を取らないといけないのでそりゃあもう大変。

 その時はお金の為に我慢をしてたが、看護師の免許も取り、
  給料も他のOLよりはたくさんいただける。

 今はする必要がない。

 「やっぱりダメ?」

 「うん!」

 

 その会話を最後に2人は店を出た。