ガサガサと、乾いた音が夜の公園に響いていました。
茂みの中から出てきたのは男でした。
この寒空に、タンクトップ一枚だけ。
全身黒ずくめの、多分年齢は私と同じくらいの青年。
もっとも、それは見た目だけかもしれません。
魔物は外見だけならどうとでも取り繕えると教わりましたよね。
『変化』の魔術で人間を惑わすのは、魔物の常套手段だと。
ましてや目の前の彼が、私の睨んだ通りの魔物ならば、人間態の時の姿なんて何の参考にもなりません。
「こんな夜更けに一人歩きたぁ、お嬢ちゃん、自分が女の身だって自覚はあるか?」
伸び放題に伸びた髪の毛を無造作に掻きながら、男は笑みを浮かべていました。
野性的な印象を受ける、ニヤリとした笑み。
私には、獲物を見つけた獣が牙を剥いたように見えました。
「まぁいいや。どうせ『食う』なら男より女の方が肉も柔らかくて美味い。それに」
男はスンスンと鼻を鳴らします。
「魔力持ちでこんな上玉ときている。晩飯としては久々に豪勢なもんだ」
「!」
驚きました。
この人、私が魔力を持っている事を知っていたんです。
茂みの中から出てきたのは男でした。
この寒空に、タンクトップ一枚だけ。
全身黒ずくめの、多分年齢は私と同じくらいの青年。
もっとも、それは見た目だけかもしれません。
魔物は外見だけならどうとでも取り繕えると教わりましたよね。
『変化』の魔術で人間を惑わすのは、魔物の常套手段だと。
ましてや目の前の彼が、私の睨んだ通りの魔物ならば、人間態の時の姿なんて何の参考にもなりません。
「こんな夜更けに一人歩きたぁ、お嬢ちゃん、自分が女の身だって自覚はあるか?」
伸び放題に伸びた髪の毛を無造作に掻きながら、男は笑みを浮かべていました。
野性的な印象を受ける、ニヤリとした笑み。
私には、獲物を見つけた獣が牙を剥いたように見えました。
「まぁいいや。どうせ『食う』なら男より女の方が肉も柔らかくて美味い。それに」
男はスンスンと鼻を鳴らします。
「魔力持ちでこんな上玉ときている。晩飯としては久々に豪勢なもんだ」
「!」
驚きました。
この人、私が魔力を持っている事を知っていたんです。