犬神の質問はなかなか核心をついているようだった。

幽霊は何故未だに信じられてるのか?

三者は、黙りこんでしまう。

キツネがボソボソ話す。

「例えば、人間の形をしてるから?」

タヌキが返す。

「それなら、お前たちが化けた人間は信仰されてるか?」

キツネがボソボソ言う。

「それは、ないな…」

犬神が言う。

「キツネは、化け方が下手くそとか?」

キツネの目が更にキツネ目になる。

「化けれない神様に言われたくないけどね!」

タヌキが割って入る。

「やめろ!やめろ!キツネの七化け、タヌキの八化け!」

キツネがタヌキに食って掛かる。

「なんやそれ!キツネは、一つ一つの化け技に美学を持ってやってるんです!」

犬神が言う。

「それって続きなかったかじゃ?」

タヌキは、一瞬眉間にすごいシワがよる。そして小さな声で言う。

「テンの九化け……」

キツネは、ニヤリとほくそ笑む。

タヌキは、勢いで誤魔化すように少し大きな声で言う。

「幽霊やろ!?幽霊!」

犬神は、タヌキの声に驚きながらキツネを見る。

キツネがまた話し出す。

「心霊スパットなんてのに人間は行って幽霊を見ようとするみたいですが?」

犬神がまた聞く。

「心霊スパット?」

タヌキがまた間に入って話す。

「肝試しの場所のことやな。インターメットに出てたりするな。」

犬神は、なんのことかわからない。

「インターメット??」

タヌキが、ドヤ顔で話し出す。

「イーティーやないか!イーティー!西洋から来た…」

犬神が間髪入れず

「妖怪か!?」

キツネが手をヒラヒラさせながら犬神に言う。

「ちゃいまんがな。」

タヌキが続けて言う。

「犬神はん!よう聞いときや!西洋から来たコピューターってヤツや!」

犬神が前のめりになりながらタヌキに聞く。

「なんじゃそれは?」

タヌキも前のめりになりながら犬神に説明する。

「コピューターってのは、四角い箱にガラスが貼ってあって、そこに文字やら絵やらが出てくる便利な物やで!」

犬神は、鼻息を荒くして更に聞く。

「ふんふん!それは妖術か幻術で文字や絵が出てくると!?出口なおのお筆先にも負けておらぬな!」

タヌキは、ヤキモキしながら口調が荒くなる。

「ちゃいまんがな!人間の作った機械でんがな!その機械がコピューターでコピューターでインターメットをして、それを全部まとめてイーティー言いまんねん!チーボードを叩いて文字を出してナウスをバルブムリップをして絵を出しまんねん!」

犬神は、何が何のことかわからず頭から煙が出ている。

「ピーポーロを叩いて文字……バブルをムルルリリップして……」

キツネは、犬神を見ながら苦笑いしていた。