せっかく誘ってもらったけど、初対面の人と二人で出かけるのは気が進まない。
私は、すみませんと何度も断る。
「えっと、ごめんなさい。また、それは日を改めて」
と謝ったところで電話が鳴った。
長谷川課長からだ。
―—どうだ?久しぶりの飲み会は?
「もしもし。課長?はい。大丈夫ですよ。楽しく過ごしてます」
――こういうのは、迎えに行った方がいいんだろうけど、体が空かなくてね。今日は、天気も荒れるから、気を付けて帰れよ。
「はい」
太田さんは、みんなのところに行こうとはせず、私が電話を切るのをすぐ近くで待ってる。
―—じゃあな。
「はい」
電話、もう終わっちゃった。
「それ、緑川さんの彼氏?」
太田さんが、すでに私の横いる。
「ええっ?はい、えっと……」
だったら、どうだっていうんですか?
「君ってさっきは、俺にも可能性あるみたいなこと言ってたのに、なんだよ!付き合ってるやついるんじゃないか」
「ちょっと、太田さん?どうしたんですか?」
急に、態度が急に変わって驚いた。
私、何か何かしたのかな。
太田さんが、寄ってきて私の行く手を阻んで進路をふさごうとしてる。
職場のみんなどんどん先に行ってしまう。
紗和にも置いて行かれてる。
今日に限って、紗和何も言ってこない。
「ごめんなさい、今日はこれで失礼します。天気も荒れるし」
自転車引いて帰らなきゃいけないし。
横をすり抜けようとすると、
「ちょっと待ってよ。もう少し話をしようよ」
横の路地の方に曲がるように、腕を引っ張られた。
「でも、太田さん、結構酔ってますよ」
さらに、集団も遠くなりすでに見えなくなってる。


