そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~


「亜湖?」


「えっ?」
耳元から聞こえてきた声に、心臓が飛び出しそうになる。

背の高い彼は、少しかがみ込み、私の上から包みこむようにして見下ろしてる。彼は、私の背中にぴったりくっつくようにして画面を見ている。


そんな格好して、周りは気にしないの?
と思って周囲を見ると、近くには誰もいなかった。
彼の声、彼の体に包まれる心地さを感じる。もう少しだけ。このまま。


「ちょっと、これ貸してくれる?」

ぼうっとしてた。それで、彼の言葉を聞き逃した。気付いて手をどけようと思ったら、彼の大きな手に、右手がマウスの上から、ぎゅっと握られた。


「イヤっ……」驚いて声が出てしまった。

ちょっと、いったい何するのよ、と言うつもりで彼の方を振り返ったら、予想外に近くにいた彼の顔で目の前がいっぱいになった。



「ちょっと、優人、顔近いって!」
彼の顔と私の鼻が、ぶつかりそうになった。


もう少しで、本当に唇どうしが触れそうだった。