「ねえ、ちょっと待ってよ亜湖付き合うの?そんなの受けるわけないでしょ?課長と付き合うって、あんたは、本当にそれでいいの?」
紗和は、やっぱり長井の肩を持つ。彼と仲がいいのだ。
私は、課長と仲良くなるべきじゃなく、長井とよりを戻すべきだってね。
「ん?だって、私は、長井と別れてから一人だし。課長も、今は誰とも付き合っていないってよ。それなら、何も問題ないでしょ?」
そうなのだ。
私と長井の間は、もうとっくに終わってる。
だから、次に誰と付き合っても悪くはない。
「ええっ?課長が?いない?彼女いないの?」
紗和がまた驚いている。
「そうみたい。でも。ここだけの話だよ」
ああ、言うなって言われてたけど、言っちゃった。
課長ごめんなさい。
紗和は、私の反応を確かめるように言う。
「あんたは、それでいいの?長井じゃない人と付き合って」
私は、少し考えてから言う。
「私さあ、そういえば、ちゃんとお付き合いしたって言えるのって長井だけなんだよね。
それって、男性を判断するのに偏りがあったのかも。何でも長井を基準に考えてたんだなあ。ねえ、紗和。私、もっと、別の人とお付き合いした方が、いいことなのかも知れないって思えてきた」
あれ?私そんなこと考えてた?
「冗談でしょ?本気なの?信じられない」
心の奥底に、長井以外の男性と付き合ってもいいなんて考えてるの?
冗談でしょ?
嘘……
「本当に!信じられない。私もそう思うわ」


