今日は、お昼休みに紗和を誘ってランチに来ていた。
紗和には相談しないと言われると、紗和に会いたくなるというのが人間の心理だ。
幸い、彼女も私に聞きたいことがあると、言って来た。
四月も半ばになり、暖かくなって外に出るのが気持ちいい。
町中も、すっかり緑色の新緑の季節になって、着ているものもだんだん薄くなっている。
私たちは、ゆっくり話ができる、ちょっと奥まったところにあるカフェに入った。
席に着いてすぐ、紗和はいきなり本題に入った。
「それで?課長は納得してくれたの?」
紗和は、課長がなんて答えたのか知りたいのかな。
この間、いろいろ言われたから、聞かれたことなんかに答えないで、はぐらかしてやろうかと思っだけど、やめることにした。私も紗和の反応が早く見たい。
「納得したというか、課長が言うには、付き合ってる振りっていうのは無理じゃないかって。長井は、私と課長が付き合ってないってこと、すぐに気が付くんじゃないかって」
紗和は、長谷川課長がそんな頼み聞くわけないと思ってる。
まるっきり態度に出てる。
「それは、そうね」
へぇー、さすが課長。
あの疑り深い紗和がすぐに信じた。
「それで……どうしようかなと」
「それで?どうするのよ?」
「長谷川課長は、本当に付き合っちゃえば、いいんじゃないかって」
「はあ?」紗和、面白い。目がまん丸だ。
やっぱり、驚くよね。
そんなこと言われたら……
「わたしも、よくわからないの。本当に課長が私となんか、付き合いたいって思ってるのかどうか」
「ちょっと、亜湖。長谷川課長って本気で言ってるの?勘違いじゃない?」
私と課長が付き合って、信じるやつ、地球上にいないって言ってたもんね。
地球上あり得ないって思ってたもんが、現実になったらどんな気持ちよ。紗和?
「冗談じゃ言わないと思うよ。冗談でそんなこと言う人じゃないもの。
ねぇ、紗和、そんなことより、このスープすごく美味しいよ」
紗和は、長谷川課長が面白がって、こんな真似するなんて思ってないだろうな。


