「何を考えるのも自由だけど。
私、付き合ってる人ならちゃんといるの。
だから、長井が私の心配してくれる必要ない。
こんどこそ、私その人と幸せになる。
だから、長井は、仲のいい友人として私に忠告してよ。
そうしてくれるならちゃんと聞くから」
「亜湖、嘘だろう?そんなの……」
彼は、握ったままの手を放した、
「仲のいい友達。それでいいんでしょ?」
彼は、黙って聞いていた。
何か、考え込むように。
「一つ聞いていいか?」
「ええ」
「付き合ってる人って、長谷川課長のこと?」
ストレートに質問が来るとは思ってなかった。
「ええっ?そんなの……誰と付き合ってるかなんて、どうだってよくない?」
ちょっと、待って。なんで課長の名前が出てくるのよ?
「よくない。亜湖が誰と付き合ってるのか、俺にはとても重要だから」
「ええ、そうよ。課長と付き合ってるの」
大丈夫。
どうせ課長は、シンガポールだし耳に入ることはないだろう。
「そっか。わかった」
「そう、よかった。納得してくれた」
「ん。とりあえず君の言い分はね」


