そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~

でも、もう限界。
夜だって終わってしまうよ、長井。
とうとう、私から切り出した。


「ねえ、そうやって、ずっと黙ってるつもり?」

私の方がギブアップして彼に言葉をかけた。3年の間に、忍耐力だけはついたと思ったのに。

いっそのこと、話なんか聞かずに、そのまま帰っってしまおうかと思った。
相手に伝えにくいことっていうのは、聞く方にとっては9割がた、聞きたくない話だ。

それも、今となっては、多分、私にはどうでもいい話なんだろけど。


彼は、優しい視線を送りながら、少しずつ私に話し出した、


潤んだ目で彼が言う。
「心配だった……亜湖のこと、ずっと」


私は、彼の冷たそうな薄い唇を見つめる。


「そう。ありがとう。気にかけててくれて。おかげでどうにか暮らしてるわ」

私は、もうぬるくてどうにもならなくなったビールを飲み干した。


「どうしてるかなって、ずっと思ってた。あの時の亜湖の顔が忘れられなくて」


「どうもしてないよ。この通り元気だし、あなたが心配するようなこと何もないのに」
溜息と憔悴。今さらなんだというの。他に何にもない。


「だといいんだけど……」