ビールがぬるくなりかけても、彼はなかなか話そうとしない。 もう、気にすることなんか無いのに。 ただの友達って関係なら、いいたくないことは、言わないでおけばいいのよ、長井。 口を開こうとしては、一呼吸してから、ため息と一緒に、口から出そうと思った言葉も、声にならないまま吐き出してる。 言いにくいことを言おうとしてる証拠だ。 しばらくは、ビールを少しずつ飲むだけで何も言わなかった。 私は、無理強いしないで彼の中で考えがまとまるのを、じっと待った。