『俺、亜湖のこと好きだと思う……』
『友達にも、よくそういう風に言われるよ』
『違う。友達としてじゃないって。友達より、もっと強い気持ち……ああ、もうダメ。いい加減分かれよ!!』長井の腕が伸びて来て、ぎゅっと抱きしめられた。
『親友』
『違うだろ。だって、親友は、ずっと一日中、一緒にいたいなんて思わないし、抱きしめたりしないだろ?それと、俺のこと一番に考えて欲しい。だから、俺に話せよ。他のやつに相談して欲しくない』
『相談?だって、それ、指導役の先輩だよ。相談するなって言われても……』
『そうだよな……何言ってんだ、俺。
でも、その先輩、亜湖に近付きすぎだ。絶対亜湖に気かある。でも、亜湖に近づくなって言いたいけど、肝心の亜湖が、先輩の方がいいって言ったら、俺どうしようって、考えると苦しくて』
『好きってそういう意味?』
彼は、素直に頷いた。
『長井君、私も同じみたいよ。同期の飲み会の時、あなたに同期の女の子が話しかけてるの見てて、面白くないと思ったもの』
『同期の飲み会?それ、ずいぶん前じゃないか!何だよ、亜湖……早く言ってくれよ。こんなに緊張したのに……何だよ』
あの頃は、私よりも長井の方が私のこと思ってくれてると思ってたっけ。
彼から、あんな風に言われるまでは。


