そして、月曜日。

目まぐるしいほど、いろんなことがあった週末のことを、お気に入りのパスタランチを食べながら、紗和に報告を済ませ、私たちはランチから戻ってきたところだ。


今日は、朝から私の異様な浮かれ具合に、由奈ちゃんも気がついたみたいで、

『亜湖先輩、何かあったんですか?』と朝一番に聞いてきた。


長井がいないところで、一人で浮かれて話すのも気が引けて、私は由奈ちゃんの質問を、ごまかしていた。でも、お昼に、紗和に報告したから、社内の女子社員にも、噂が広まるだろう。



玄関先でいきなり『結婚させてくださいって』
言い出した優人に両親とも無言で固まってたこと。

大学生の弟をしっかり味方につけて、もうお兄さんなんて呼ばせてる事。

本当に、初対面の人の心に入ってくのが上手な人だ。
うちを出るころには、すっかりもう一人の息子ができたって、両親を喜ばせていた。




「びっくりだね!あいつがそんなに、行動的だと思わなかったな」


紗和は、フロア中に聞こえるほどの大きな声で、噂をばらまいた。



「仲直り出来てよかったね。ほら、彼氏が来たよ」


彼氏?
だって、彼は、まだ現地にいるはず……どうしたの?



「亜湖、また会えた」


本当に、彼の声がした。

彼は、いつの間にか私の横に立つと、さっと腕を腰に回してる。


紗和がからかった。
「早速、俺のものだって宣言してるし。目の毒だから、あっちへ行ってよ」


「いろいろ確認したいことがあって、直接来ることにしたんだ。っていうのは建前で、昨日、部屋の鍵渡し損ねただろ?」


「そんなに、慌てなくてもよかったのに」


「少しでも早く、移って来て欲しいから」


「あっ、忘れてた。亜湖、せっかくのところ悪いけど、長谷川課長が呼んでたよ」