あっという間に、テーブルに料理が並ぶと、

「長井さん、お酒とりあえずビールでよろしいでしょうか?」


長井は聞かれて、「ああ」と、ぶっきらぼうに答える。



「それから、長井さん?」部屋の中から若旦那に呼ばれた。


「なんだ?」



「くれぐれも、温かいうちにお召し上がりくださいね。冷めて味が分かんなかったとか言われると、板場の方も、がっかりしますから」



「わかってる」



「では、ごゆっくり。部屋の外のお風呂は午前2時までになっております。それまでには亜湖さん解放してあげてくださいね?」


「おい!聡」



「長井さん、普段余裕たっぷりなくせに、案外、肝心な時、余裕ないっすね?ダサいです」



「あっち行け!」



「はい。ごゆっくりと」