ドアが閉まったと思った時、急に誰かに 後ろから抱きつかれた。
もう少しで、声をあげそうになった。
「ごめん、びっくりさせて。亜湖待って、俺だって。覚えてるかな?前に亜湖がいきなりやって来て、不意打ちみたいにして、飛び付くのやってみたかった」
「もう、バカ!急にやらないでよ!!死ぬほど驚いたじゃないの!」
「前は、俺によくやってきたくせに」
「時と場合によるでしょ!」
「だったら、ここなら最適だ。どこからも死角になって、どの角度からも、見えない」
壁がコの字型になってる。確かに、どの角度からでも見えにくいらしい。
彼は、後ろから抱きついたまま、唇で首筋をなぞっていく。
抱きしめられたまま、彼の手が私の様々な場所をさ迷い、肩から首筋に熱い息とキスを落としていく。熱にうかれたように、体が急に熱くなる。
――長井さん?
ん?
「今、人の声がしなかった?」
「しない。そんなことより、亜湖……こっち向いて」長井は、もう断れないと安心したのか、私を振り向かせると、もう待てないと言ってキスをした。
「ねえ、絶対聞こえたって!」
「いいから、静かに……ここにいれば分からない……」
ちょうどいいタイミングで、バーンとドアが開き、長井の背中を直撃した。
「いってえ!!」
と長井のうめき声が聞こえた。
「すみません!!長井さん、大丈夫ですか!?」


