そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~

車が、温泉街に入っていく。

川沿いに、張り付くように旅館やホテルが並んでる。

それ以外は、家の数も疎らで、観光用の派手な店がなく、古い木造の建物が多い、落ち着いた雰囲気の静かな温泉地に入ってきた。


長井から聞いてた宿は、名が知られていて、この温泉が温泉地としてしられるずっと前から旅館として営業を始めた老舗旅館だ。


入口が、狭く入り組んでいて駐車場が分かりにくい。


「ここから、入っていくんだっけ?」

「そうだと思う」私は、手元の簡単な地図を見ながら言う。


長井が、器用に狭い路地の方にハンドルを切って入っていく。

路地を抜けると、落ち着いた古い木造建築の旅館が姿を現す。

旅館の建物に入って、その立派な風格に驚く。

「結構、大きな旅館だったのね」


「ああ、増築を繰り返してこうなったって聞いてる」