「やっとわかったか?」
「はい……すみません、私、今死ぬほど恥ずかしい顔してませんか?」
私は、どっちでもいいことで悩んでいたのだ。
「そんなことない。可愛いよ」
真顔で言わないでください。今、火が付くほど赤いんですけど。
もう……
「や、止めてください。本当に赤いって自分でもわかります」
「そうだろ?悩んでも同じだ。だから悩む事なんか、これっぽっちもないじゃないか」
「はい。課長……ありがとうございました」
私は、深々と頭を下げた。もう顔見られないほど恥ずかしい。
「おい、過去形か?」
「課長、言ってましたよね?最初からわかってるって」
「まあ、勝負は、最初からついてただろ?まず、気持ちが残っでなければ、悩まないからな」
「参りました」
「駅まで送ろうか?」
「はい」
「すみません、こんなことに付き合わせてしまって」
「いいさ、課長職になった途端に誰からも誘われなくなって、寂しい思いをしてたところだからいいよ」
「はい」


