そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~

「あの……長井さんと話ができないかなって」由奈ちゃんが恐る恐る話す。


「話しかければ?長井ならまだ、そこにいるでしょ?」
私は、そっけなく言う。


「えっと、あの。話しかけても、会話が続かなくて」
美香ちゃんが潤んだ目で訴える。


「長井はねえ、ああ見えてクールだからね」紗和がうんうんと、頷きながら答える。

「クール?あれのどこが」
私は、思わず口にした。

「それは、長谷川課長に比べればまだまだだけど、人当たりいい雰囲気持ってる割には、なかなかつかみにくいよね」
紗和がフォローする。

「そうなんですう。紗和先輩ならわかってくれると思ってました」
美香ちゃんが紗和の手をしっかり握ってぶんぶんと振った。


「へえ、美香ちゃん長井のこと好きなんだ」
美香ちゃんは、恥ずかしそうにうつむく。


「営業なら、話しかけるチャンスくらいあるでしょ?」
本来の営業の仕事もあるから、長井は私の横でずっと仕事をしているわけではない。


「でも、長井さん営業にいるときはずっと忙しそうで、話しかけるチャンスがなくて」

私は、立ち上がって法務部のフロアを見渡した。普段、彼は適当に買って来たものを自分の席で食べている。

よりによって、今日はずっと席にいてパソコンで事務作業をしている。

今日は、まだ、彼におはようと挨拶しただけだ。

あれから、ろくに口をきいてなし、これからだって聞けそうにない。