「亜湖先輩、お話があるんですけど……」
由奈ちゃんと、二人の仲間たちがお弁当を持って、パーティションで区切られたスペースに入ってきた。
今、ちょうどお昼休みに入ったところで、応接室の一室で、私は紗和とお弁当を食べようとしていた。
紗和と話がしたかった。由奈ちゃん達が入って来たことで、私はその機会を奪われたから、内心面白くないと思った。
それに、狭いスペースだし、四人でもテーブルに着くのは窮屈だ。
その上、さらにもう一人補助の椅子を使って席に着くと、やっぱり息苦しい。
「どうしたの?」
紗和が興味を示して尋ねる。紗和はそんなこと気にもしてない。
どうして相手なんかするのよ、紗和。
食べ終わってからでもいいじゃない。私は、紗和と二人きりで話したかったのに。
「亜湖先輩にお願いがあるんですけど」
由奈ちゃんが、切り出した。
えっ、私?
なんか嫌な予感。仕事の件なら、由奈ちゃん一人で来るだろう。
それをわざわざ、3人で来るというのは管理課の面倒くさい人間関係か、どうでもいい恋愛の話だ。
「なになに、亜湖に何の用なの?」
紗和は、興味津々ですでに前のめりになってる。
「ちょっと、紗和。けしかけるのやめてよ」と、小さく呟く。
「すみません、亜湖先輩。美香ちゃんのことなんですけど……」
美香ちゃんというのは、営業部のアシスタントの子だ。くるんときれいに髪を巻いて、完璧なアイメイクで私を見つめている。
「美香ちゃんがどうしたの?」


