「長井?」
「俺、もうだめ。亜湖、二人きりだと、あの人にどんなふうにされるのか、俺より優しくされるのか?こんな風に、髪に触れながら、どんな風にキスするのかって、どれだけ悩まされたと思う?」
「どんな風にって、とっても優しいよ……」
「そう」
「ああ、どんな風にって、キスも……普通だよ」
「何が、普通以上だよ。体験してないこと、口で言えるわけないだろ?」
「ちょっと、なによ、私達がどんな付き合いしたっていいじゃないの」
「よくない。亜湖。君にこうして触れていいのは俺だけ……君は俺だけのもの。わかったね?」
長井に、後ろから抱きしめられた。
頭のてっぺんから、うなじ、肩と優しくキスされる。


