そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~

シャワーを浴びて、下着をつけようと思ったら、あるはずのものがない。

「ええっ?」

下着も、スーツの下に着てたインナーのカットソーも、脱いでそこに置いてあるはずのものが何もない。

私は、バスタオルを体に巻き、洗面のドアを少し開けて長井を呼んだ。

「長井、ここにあったものは?」

ドア越しに彼が言う。
「濡れてたやつ?」
私は頷いた。


彼が近づいてきて、私の姿を一瞥した。


「ああ、なら。それ」

洗濯機がガラガラと、音を立てて回っている。

「い、入れちゃったの?」

「さすがにジャケットは、干してあるけど」

「下着とか、ズボンも?」

「びっしょりだったから洗った。ホームクリーニングだから大丈夫だ」

「いえ、洗濯物の心配じゃなくて、乾くまで、どのくらい時間かかるの?」

「さあ、一時間くらいかな」

「さあ、じゃなくて、どうするの?その間この格好でいるの?」

いつずり落ちるかわからない、バスタオルをすでに、何度も結びなおしてる。

「さすがに、それは止めてくれ。着替えならちゃんと置いてあるだろ?」彼は、笑って答える。

よく見ると、使い込んだトレーナーの上下が置いてあった。この服には見覚えがある。

これは、長井の部屋に遊びに来た時に、私がいつも着ていたものだ。


「これ、まだ、取ってあったんだ」


「また使うと思ってね」