1月。

休みの日に偶然、街中で舘野に会った。

道を歩いていたら、前方を歩く人達がある一定の場所を避けて通っているのが目に付いた。

(……?)

なんだろう?事故か何かだろうか?

でも、辺りを見回しても救急車やパトカーがいる気配はない。

不思議に思いよくよく目を凝らしてみると、2人の男に1人の女性が絡まれている様だった。

しかし、みんな面倒事に巻き込まれたくないのか、見て見ぬフリをしてそそくさと通り過ぎて行く。

申し訳ないが、せっかくの休みに俺も面倒事に巻き込まれるのは正直ごめんだ。

(向こうの通りから行くか)

そう思って踵を返し、違う道を行こうとした瞬間、

「放してよっ!行かないってば!」

と、聞こえて来た女性の声にそうも言っていられなくなった。

嫌でも耳に残ってしまっているこの声。