玄関を開けると男は叫んだ。

「楽しんでるか~?」

静かな部屋の中に自分の声だけが吸い込まれて行く。

玄関の中に入ると静かすぎる部屋の雰囲気に男は不思議な感覚にとらわれる。

ゆっくりと玄関扉を閉めると、男は靴を履いたまま部屋の中に入る。

「賢人く~ん?」

ソファのある方向に顔を向けた。

「ぎゃああぁぁああぁあああぁ~~~!!!」

そこにはキッチン前に女の死体があった。

「賢人くんが殺した!?」

男は気が動転して一人言を言っている。

「あれ?賢人くん?」

よく見てみると、女の切り裂かれたお腹の中に賢人の顔がこちらを向いて入れられていた。

「あはは~!賢人くん何してんの?」

女の回りに大量の血液が飛び散っている中、男は賢人の顔に近寄り声をかけた。


男は尻餅をつくと回りをキョロキョロと見渡して立ち上がり急いで部屋を出ていった。

残された腹を切り裂かれた女とその中に入れられた男の顔と飛び散った血飛沫と、先ほどの男の足跡がリビングのオレンジ色の電灯に照らされて、まるで芸術作品の様だった。