賢人は、あいの太股を触る。

「わかったか?」

あいは、小さく頷いて言う。

「賢人、聞いて?」

賢人は、優しい声で言う。

「なに?」

あいは、自分のスカートをギュッと握ると言う。

「店辞めようと思ってるんだ…」

賢人は、あいの肩に手を回すと言う。

「辞めてどうするんだ?違う店に働きに行くのか?」

あいは、髪に賢人の息を感じながら言う。

「前に賢人が言ってたでしょ?一緒に住んでも良いって…」

賢人は、あいを触っていた手を全て離すと言った。

「言ったっけ?」

賢人は立ち上がって目の前のテーブルにあった携帯を手にとる。

あいは、賢人に言う。

「なんでもするから…」

賢人は、電話をかけながら返事する。

「なんでもするんだな?」

あいは、すがるような目で背中を向けている賢人に言う。

「なんでもするよ…」

賢人は、電話先の相手に言う。

「今から大丈夫か?どれぐらいかかる?30分ぐらいか…わかった。来てくれ。」

電話を切って振り向いた賢人を見て、あいは聞く。

「誰?」

賢人は、ニヤリと笑うと言う。

「これから友達が来るんだ。少しだけ相手してやってくれるか?」

あいは、恐怖を感じ始めていた。