電車に乗り込んで数駅。
私の地元駅で、手を繋いだまま降りた。
無言のまま早足で歩く高遠くんについていくのに、私は少し小走りになる。
そのまま家まで行かずに、手前の大きな公園の中に曲がった。
そして公園の奥の方のベンチに座る。
気まずい沈黙。
その沈黙を静かに破ったのは、高遠くんだった。
「あれ誰?」
「…え?」
「さっき誰に抱きしめられてたの?」
いつもより低い声。
そして、いつもより冷たさと怒りを含んだ声。
その声に背筋がゾクッとする。
「…お、同じクラスの男の子」
「抱きしめられちゃうほど仲いいんだ?」
片方の口角が少し上がってるけど、目はまったく笑ってない。
目は怒りに満ちてるのがわかる。
「そ…それは、…私が取り乱しちゃったから宥めてくれるために…」
今の高遠くんは怖いけど、私そんな怒りの矛先にされる筋合いない。
だって…。
「抱きしめられて好きになっちゃった?」
「え…?」
何言ってるの?
本気で言ってるの?
自分は内村さんと仲良くしてて、何で私だけこんな言われ方しなきゃいけないの?
「高遠くんだって知らぬ間に内村さんと付き合ってるくせに、そんなこと言われる筋合いない!!!」
勢いよく立ち上がって、渾身の力で声を出した。
それに連動して止まってた涙がまた溢れ出す。
「もうこんな辛い思いするのたくさん!!!」
それが本音。
もう耐えられない。
こんな辛いの、もう、もう耐えられないよ。
私そんなに強くない。
強くないんだよ----。

