一体誰なんだ。あの女は。
倉庫に着くまでの車も、倉庫に着いてからの幹部室でも、俺たちは無言だった。
花鈴の啜り泣く声だけが、響いている。
「花鈴元気出せって」
「だって…ヒック…夢月君…彼女居た…しかもすごい美少女…」
「彼女じゃないって言ってたじゃんか」
「でもっ…夢月君すごい麗さんの事大切そうに見てた…!」
「……まぁ確かになぁ」
朝日、そこで認めたら慰めにならねぇぞ。
「もうダメだ私……」
ほら、花鈴が余計に泣き出した。
「よ、よし!今日はパーっと飲もうぜ!花鈴の失恋慰安会的な!なっ?だから元気出せって」
余計に泣き出した花鈴に焦った朝日は、よく分からないけど飲もうと言い出した。
いつも花鈴に酒を呑ませないくせに。
「失恋……」
朝日の付けたネーミングにまでショックを受けた花鈴。
ズーンと効果音が付きそうなくらい落ち込んでいる。