教師は俺たちが怖くて、サボる事に関してなにも言ってこない。
サボる代わりに、テストで赤点は取るな。
それだけ言われた。
だからテストでは約束通り赤点だけは回避している。
「それにしても、本っ当に夢月と海月ってそっくりだよなー」
一成はよく、そんな事を言う。
「夢月に泣きぼくろなかったら見分けつかない」
同感だと、爽も頷く。
「私はなんとなく分かるなぁ。だって二人とも雰囲気が全然違うもん」
俺は花鈴の、そういう優しいところが好きだ。
決して恋愛感情ではないけど。
「さっさと仲直りしろよー海月。」
「だからケンカじゃないんだって。俺だってよく分かんねぇよ……」
朝日はスマホゲームをしながら俺に毎回そう言う。
俺だって、なんで夢月が俺と話してくれないのか分かんねぇ。
入学式の日、夢月と6年ぶりに再会した。
再会したアイツは、雰囲気が昔と正反対で。
本当に夢月か疑うほどに。
だけど、右目の下にある泣きぼくろと、俺と瓜二つの顔が夢月だと言っていた。
久しぶりだと、声を掛けると俺は無視された。
あの時、どれほどショックだったか、アイツは知らない。
なんで苗字が変わっていたのか、それも知らない。


