オレとアイツ


多分、さっきの出来事を思い出したのとあとは……



アイツの殺気にビビってるからだろう。



俺たちでさえ動くのが精一杯になりそうな程の、締め付けるような重い殺気。



アイツは笑っているけど、笑っていない。



正直に言おう。怖い。




「りんりん?」



「キス、されたの……」



「ふぅん。あとは」




アイツの声が、ドスを含んだ低い声に変わる。




「首に顔を埋められて……胸触られた……」




花鈴は思い出したのか、顔色が真っ青で微かに震えている。




「やっぱ本当に殺しとけば良かったかも。」




ボソっと、アイツはなにか危ない事を呟いた。




「夢月くん…?」




「ん?りんりんよく頑張ったね。おいで?」




声色が一瞬でいつも通りに戻ったアイツ。



殺気も閉まっている。