俺たちは全員一年だ。
一年のフロアである3階に行くと、一箇所に女子の人集りが出来ている。
「夢月君はどんな子がタイプぅ?」
「あっ、私も聞きたぁい」
甘ったるい猫なで声で次々に質問を飛ばす女子達。
その中心に居るのが
「俺はどんな子もみんなタイプだよ。一人に絞るなんて失礼でしょ?」
甘いマスクを被って女子達を悩殺させる松山夢月。
俺と顔が瓜二つの、血の繋がった双子の兄だ。
「夢月君大好きっ!」
「私も大好きっ!」
「さすが夢月くん!」
「おっ、夢月はよー」
「夢月おはよ。相変わらずモテるね」
「夢月ちーっす」
「おはよう夢月君!」
夢月を見つけてそれぞれ挨拶をする朝日達。
「おっ、おっはーみんな」
ヒラヒラと笑顔で手を振る夢月。
もちろん、それは俺以外に向けられたものだ。
俺と夢月が話す事は、決してない。
だから俺は仲良さ気に話すみんなから一歩下がって見ているだけに徹する。