倉庫に行く間の車の中、海月君は一言も喋らず、何かを考えているようだった。
だから私たちも、そっとしておいた。
倉庫に着いて幹部室に行くなり、海月は口を開いた。
「なぁ爽。」
「ん?」
「"有川夢月"について調べてくれ。」
真剣な表情で、爽君を真っ直ぐ見据えた。
「わかった。」
爽君も、海月君の覚悟を読み取ったんだろう。
優しく笑って、了承した。
爽君は夕凪一の情報通で、常にパソコン片手になにかを調べている。
爽君にかかれば何でも調べられる天才だ。
それから爽君は自室に籠もって、有川夢月について調べた。
爽君が調べ終わるまでの間、誰も口を開くことはなかった。
ガチャ
爽君が戻ってきた。
「爽、どうだった?」
「それが、さ………」


