「夢、そろそろ離してやれ」
「なに海。こいつの事庇うわけー?」
やべぇ。夢の目がマジで殺そうとしてる。
「そういうわけじゃねぇよ。ただ、ここで殺しても困るのは夢だろ?」
「俺は別に困らないよー?だけどじっくり生殺しを後で出来ないのがそこだけ後悔だなーってだけー」
「じゃ、じゃあそうしよう。な?夢。とりあえずクソ女の手離そ?あとで生殺ししてやろ?な?」
「んー、海の頼みだし仕方ないなぁー。じゃあ連れてってー。」
いきなりクソ女の首から手を離した夢。
クソ女は地面に思いっきり落ちた。
「はぁはぁ……っはぁ…」
呼吸を整えているクソ女に近づいた組員は、クソ女を担いで出て行った。
「ちょ、と離し、はぁ…なさいよ!…離せ離せ離せーーー!」
大声で叫んでいるクソ女の声はだんだんと遠くなっていった。
「夢?」
「ん?なぁーに海」
「帰ろ。家に」
「そーだねー」
やっと目が正気に戻った夢。
そこで一息吐く。
夢が人殺しになるのは嫌だ。
まぁヤクザの若頭となれば将来そんな事思っていられないんだろうけど。
今だけは、そう思わせてほしい。


