そして8時
面会時間が終わっているのにどうやって入って来たのか、クソ女が現れた。
カツ…カツ…カツ…カツ…
無駄に高いヒールを鳴らして。
そして迷わず花鈴が元居た部屋に入った。
俺たちは病室の扉の外に気配を決してスタンバイする。
「相馬花鈴…あんた、夢月から離れろって言ったのになんで夢月がお見舞いに来てるわけ!?ふざけんじゃないわよ!殺してやる!」
それ、花鈴悪くないだろ!って心の中でツッコミを入れると同時に、クソ女がキラリと暗闇で光るナイフを振り上げた。
振り上げたのと同時に、俺たちは病室に入る。
「ねぇ花鈴、何してるわけー?」
昨日、組員に聞いた情報がある。
夢は本当に怒っている時と仕事している時。
その時はニコニコと笑みを浮かべて殺気を出しながら緩い喋りで相手を追い込むんだとか。
今の夢が、まさにそうだ。
「む、夢月!?なんでここに……」
「俺は何してるって聞いてるんだけどー。答えてくれるー?」
「べ、別に私はなにも……」
さっとナイフを背後に隠したクソ女。
想定外の展開にパニクってる。
「それ、なにー?ナイフだよねー?そんなのどーして持ってるわけー?それ振り上げてなにしよーとしてたのー?答えてくれるよねー?んー?」
ジリジリとクソ女を壁に追い詰める夢。
これ、俺たち要らなくね?


