「まーまーとりあえず座りましょー?」
だから翔さん。ここ貴方の家じゃないって……
自由過ぎる翔さんにもう呆れて何も言えない。
全員椅子に座ったところで。話は始まる。
「まぁ本題に入りますとー。あ、もしかして世間話したかったですかー?でも俺あんた達とそんな無駄話する程の神経持ってないんでー。ごめんなさいねー?」
確実に、確実に母さん達を挑発している翔さん。
本人が一番楽しそうだ。
「海月クン、松山組で引き取りますねー」
「んなっ!」
「どういうことだ」
「どういう事ってー?そのまんまの意味じゃーん。もしかして理解出来ないわけー?これだから単細胞は困るんだよねー。一回死んだら?あ、死んだら戻って来なくていーけどー。」
「あなた達は私たちから海月まで取るつもりなの!?」
「海月まで取る…?なにを言ってるわけ?やっぱ一回死ねよてめぇ。」
翔さんが、母さんの言葉にゆるい喋りを取った。
部屋にはものすごく重くて締めつけられるような殺気が流れる。
「最初に夢月を捨てたのはてめぇらだ。海月はてめぇらが夢月にして来た事を全て聞いた。それを聞いた上での自分の意思でてめぇらから離れる事を決意した。だから俺たちは海月を引き取る。それまでだ。話は以上。海月、帰るぞ。」
「あぁ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
「まだ何か?」
「海月!海月はそんな事、しないわよね?脅されているんでしょ?そうよね?」
「母さん、父さん。俺を今まで育ててくれたのは感謝してる。でも、それ以上に俺は母さん達が夢にしてきた事を許せねぇ。人間としてどうかしてる。そんな奴らと一緒に住んでたら俺まで腐っちまう。そんなのゴメンだ。今まで育ててくれてありがとう。さよなら」
今度こそ、泣いている母さんを背に向けて俺と翔さんは家を出た。
「海月クンカッコよかったじゃーん。俺惚れちゃったかもー」
翔さんはいつもの喋り方に戻った。
「本当の事、言っただけなんで」
「そーいう素直じゃない所も夢月にそっくりー。さすが双子ー。あ、家の荷物は必要な物だけ組員に取らせに行くからー。おっけーい?」
「……おっけーい」
「んじゃ車に乗ってー、松山行くよー。レッツゴー」


