オレとアイツ


次の日


朝10時に病院前で夢と待ち合わせだ。


学校はって?んなもんサボってるに決まってる。

花鈴があんな状態なのに行けるかっつーの。


「おっはー」


夢と合流出来たので花鈴の病室に行く。


ちなみに花鈴の病室は大部屋だけど、花鈴以外の患者は誰も居ない為実質個室だ。


「花鈴、来たぞー」


ゾロゾロと病室に入って行く俺たち。


夢は一番後ろに居る。


花鈴は……


「………」


やっぱり何も瞳に映さないまま、俺たちの方を一瞬向くとすぐに顔を戻した。


「りんりん……」


夢はそんな花鈴の姿を見て、眉を下げている。


「っ………」


花鈴が、夢月の方を見た。


すると今まで全く動かなかった表情が少しだけ動いた。


目を丸く見開き、心なしか表情が強張った。


「りんりん……」


夢が花鈴に伸ばした手


それは

パシン

儚く弾かれた。


「り、んりん……?」


「ゃ……やだっ…!む、つきく、なんて…きらい!!」


花鈴が、喋った。


それは、夢を傷つけるには充分な言葉で。


「そっか……」


泣きそうに顔を歪めた夢は、そのまま病室を出て行った。


あの夢大好き花鈴が、夢を拒絶した。


驚きを隠せない俺たち。


きらい!きらい!


そう言って泣き出した花鈴の頭を撫でて落ち着かせる朝日。


俺たちが大丈夫で、夢だけダメ……


本当に一体クソ女に何をされたんだよっ!くそ!