「んー、そうだなぁ。まず何話そうかなー」
「夢月、一番聞きたい事聞いていいか?」
「いーよー」
「夢月からクソ女に婚約申し込んだって本当か?」
繁華街でも有名になってるこの噂。
夢月に想いを寄せている女はみんな発狂している。
「本当だよー」
「なんでだ?」
花鈴、泣きそうな顔するなって
「まぁ簡単に言っちゃえば俺、スパイみたいなもんなんだよねー」
「スパイ……?」
「俺が婚約した橋本組はね、"表"では正統派な松山組と変わらない組として有名なんだ。」
「"表"、では?」
「そう。表では。橋本組はここ数年、裏でバレないように薬なら強姦やら賭博らなんやら違法行為ばかりしているんだよねー。そんな組を俺たちが見逃すわけにはいかない。だから俺たちはある作戦を立てた。」
「その作戦が、スパイ?」
「そゆことー。厳密に言うと、俺がまず橋本組お嬢に婚約を申し込む。橋本組はね?松山組をいつか蹴落として自分達がトップに立つのが夢なの。だからこの話に乗らないわけがない。それで橋本組の組長に挨拶言って裏話とか色々聞けるまでに仲良くなって。その話の裏付けと証拠を手に入れたら裏社会と警察にその情報を流して橋本組を潰す。それが俺たちの作戦」
「ちなみにその作戦考えたのは?」
「もちろん俺だよー」
「「「「「……………」」」」」
えげつねぇ
誰もがそう思った。


