宴会が始まって1時間弱。
組員さん達は顔は怖いけどみんな良い人で、私たちに話しかけてくれる。
お酒が回って若干酔っ払ってるけど。
それでも楽しい。
組長さんの隣に座ってた女の人は組長さんの奥さん。
つまり麗さんと夢月君のお母さんらしい。
そしてもう一人、顔の整った男の人こそが夢月君を拾った翔さんらしい。
噂通りのお調子者な印象を受ける。
「組長さん」
「なんだい?海月君」
「俺をここに入れて下さい。」
どうやら海月君は本気だったらしい。
頭を下げて組長さんにお願いする海月君。
盛り上がってた宴会は、シンと静まりかえった。
「どうしてかね?理由を聞いてもいいかな」
「夢から…夢月から全て聞きました。俺は母さんと父さんが許せません。そんな奴らと今まで通り普通に暮らすなんて無理です。それに、俺はまた夢と一緒に暮らしたい。その願いを叶えられる場所はここしかないと思いました。お願いします。ヤクザになる覚悟はあります。俺をここに入れて下さい。」
「お前…無理だって言ってるだろ」
口を挟んだのは夢月君。
やっぱり冷たい目で海月君を睨んでる。
「でも夢…!」
「夢月。素直になれ。俺は良いと思うぞ?」
「組長!」
「夢月。お前が一番望んでた事だろう?」
「しかし…!」
「組長命令だ。」
「……わかりました」
夢月君は悔しそうに舌打ちをした。
組長命令と言われたら何も言えないらしい。


