「うそだろ…」

「若が負けた…!?」

「あの若だぞ!?」

「夢月が勝った!?」



「翔」


「ゴホッゴホッ…あーあ。負けちった」


「楽しかった」


「俺もだ。約束通り若頭の座はお前に譲る。今日からお前が松山組の若頭だ。いいな」


「………俺、若頭の座はいらない。翔と戦えた。それだけで十分」


「ダメだ。約束は約束。頷いたのはお前だぞ?夢月。」


「でも……」


「でもじゃない。組員達も理解してくれる。そーだよなぁ!?お前ら」



「「「「「もちろんっす!」」」」」


「ほらな?」


「…………」


組員達は笑顔で頷いた。


翔も笑っている。


組員の間からヒョコッと顔を出した麗は、笑って抱きついてきた。


「むーちゃんおめでとぉぉぉ!」


「でも、父さんは……」


きっとそんな事許さないはず。


そう思っていた。


なのに……


「夢月、男の約束へ絶対だ。俺は認めるぞ?」


意外にもあっさりと認めた父さん。



「夢月、覚悟決めろ。」


「……わかった。俺、若頭になる。」



「「「「「うぉぉぉぉぉぉ!」」」」」



この日、俺は松山の若頭になった。


ちなみに翔は組長補佐になった。