このまま体力を消耗してバテるのが俺か翔か。


はたまた大技を仕掛けて勝つか。


確実なのは時間をロスさせて翔の体力を奪う方かもしれない。


だけど、そんなんじゃつまらない。


「翔」


「あー?」


「この勝負、勝たせてもらう」


「やぁっと本気になったか」


「俺の目標は、翔に勝つこと。若頭の座はどうでもいい。」


「でもそれが条件だからねー。おし!いっちょやりますかー」


俺と翔はどちらとなく走り出し、拳をぶつけ合う。


拳が翔の頬に当たる感触。

翔の拳が俺の頬に当たる感触。


俺たちは殴り合いを続ける。


翔の腹に隙を見つけた。


俺はそれを逃さず懇親一発の回し蹴りを決めた。


それは翔の鳩尾にストレートで入る。


「ゴホッ」


翔は飛ばされて壁に背中をぶつけて倒れた。


「止め。勝者夢月」


野次馬組員が騒然とした。