動かない翔。
動かない俺。
5分くらいそうしてただろう。
いつの間にか何事かと組員達が野次馬に来ていた。
「ねぇ翔。なに考えてるの?」
「んー?俺はこの組の為に強い奴を後継者にしたいだけよー」
「俺、翔に勝てる自信ないんだけど」
「俺はお前が勝つって思ってるよ」
「あり得ない。やっぱバカじゃん」
「手、抜くなよ」
「それこっちのセリフ」
「動かないなら、俺から行くね」
動く気配のない翔。
だから俺から仕掛ける事にした。
まずは腹。
シュッ
パシッ
シュッ
ドカッ
翔の腹に二発目が当たった。
「っ!ゲホゲホ」
「本気でやろーよ。翔」
翔には勝てないと思う。
だけど俺の命の恩人である翔を越えたい。
それは俺の中で大きなモノになっていた。
「あぁいいぜ。久しぶりに本気出してやるよ。有難く思え、夢月。」
今度は翔から仕掛けてきた。


