松山夢月になって1ヶ月が過ぎたある日
「ーーーーーーだよな」
「あぁーーーーーー」
稽古終わり、風呂に入ろうと廊下を歩いていると、いつも使われてない部屋から話し声が聞こえた。
この声は多分組員の2人だ。
なにかと俺の世話をしてくれる優しい組員。
気になって部屋の扉に耳を立ててみる。
「夢月ってさ、笑わねぇよな」
「ずっと無表情で無口で気持ち悪ぃ」
「ほんとそれ。若のこともバカにしやがってよ」
「最近生意気なんだよな」
「捨て子の分際で生意気」
「組長もこんな気味悪ぃ奴息子にするなんてどうかしてる」
「俺なら捨てるけどな」
「「ぎゃはははは」」
「………………」
信じた俺が、バカみたいだった。
やっぱり人間なんて信用するもんじゃない。
いいよ。お前達の理想通りの子供になってやろうじゃねぇか。
俺の闘志は燃えてくる。
無表情で無口で気味悪ぃ?
だったら俺と正反対の翔みたいな奴になってやるよ。
笑ってよく喋ればいんだろ?
なってやろうじゃねぇか。
それでお前達よりも喧嘩上達して倒してやるよ。
俺をこんなにさせたんだ。
覚えてろよ神田と樋口。


