次の日から、護身術と喧嘩の稽古が始まった。
教えてくれるのは幹部のヤマセ。
ヤマセの教え方が上手いのか、はたまた俺に才能があったのか
俺はメキメキと上達していった。
稽古が始まって1ヶ月後には幹部のヤマモトを倒せるまでに成長した。
俺の上達ぶりに組員達は驚きを隠せない。
俺自身もあんまり実感がない。
翔に拾われて松山で過ごすようになって2ヶ月。
今日は大事な日だ。
「夢月。これに名前を書いたらお前は正式に俺の息子になる。覚悟は出来てるな」
「ん。」
そう。今日は養子縁組をする日。
俺が正式に、松山夢月になる日。
俺は迷わず紙にサインをした。
「これでお前は松山夢月だ。よろしくな」
「よろしく……」
紙は役所に翔の側近が提出しにいった。
「いい機会だし、翔と盃でも交わすか。お前達もちゃんと兄弟になれ。」
「おっしゃー!夢月酒飲んで酔っ払うなよー」
「…………翔うざい」
「おまっ…ったく。」
その夜、組員の前で俺と翔は兄弟を誓う盃を交わした。
酒ってまずい……
俺に酔っ払うなと言った翔は、調子に乗ってゴクゴク酒を飲むからベロンベロンに酔っ払っていた。
やっぱりコイツはいつまで経ってもバカだ。
こんなのが若頭で松山組は大丈夫なのかな……


