海に会いたいな
ふと思った。
「父親が何の仕事してるか分かるか?」
「普通にサラリーマンしてる」
「なんで前田組に居たんだ?」
「父さんが借金作って、とても払える額じゃなくて俺を売ったらチャラにするって言われて売られた」
「そうか……両親の事好きか?」
「嫌い」
虐待はするし俺から海を離すし、ろくな親じゃない。
「翔。調べてこい」
「了解」
翔は俺の話を裏付けする為に部屋を出ていった。
父さんと二人きりだ。
「夢月。俺はな?お前を養子にしたいと思ってる。」
「…………」
「苗字が有川から松山に変わる。いいか?」
「………いいよ別に」
海との繋がりが、消えちゃうけど。
それでもいつか海に会えるならそれでいい。
繋がりがなくても、家族は家族だ。


