服で見えない所だけを狙ってくるから、誰も気づかない。
前まで海と一緒に入っていた風呂だって、身体中にあるアザを隠す為に入らなくなった。
俺の身体は、アザだらけだ。
母さんは頭が良い。
虐待されてないかも込みで診る学校で年に一回ある健康診断。
その時期が近づくと、母さんは俺に暴力を振るわなくなる。
虐待されるのがバレない為に。
おかげで俺は、誰にもバレず身体がボロボロになっていく。
俺は母さんのストレス発散道具だ。
虐待が始まったのは、俺が3歳の頃。
人間慣れって怖い。
最早虐待されてるのになんの抵抗も感じなくなった。
そんな俺がどうにか死なずに生きているのは、海のおかげ。
海が居るから俺は死にたいと考える事はないし、海が居るから母さんは俺を最後まで殺さない。
俺は海によって生かされてるも同然なのだ。
そして俺の人生の転機が訪れたのは10歳の時。


