友達の居ない俺はいつも休み時間は本を読んで過ごしていた。


あとはたまに海が俺のクラスに来て一緒に話していた。


「夢帰ろ!」


「ん」


放課後になり海が俺の教室に迎えに来た。


俺はランドセルを背負って海の所に行き、手を伸ばす。


海は嫌な顔をせず、俺の手を握ってくれた。


「それで今日ヤマトがさー……」


家に帰るまでの道のりは、海の今日あった出来事を聞くのが習慣。


そして


「やぁーい!夢月の金魚のフン!」

「くっつき虫ー!」


こうやって、海しか心の拠り所のない俺をからかう同学年の男子。


これもほぼ毎日のことだ。


慣れてしまえばなんてことないただの日常。


「お前らっ!」


「あっ海月が怒ったー!」

「逃げろー!」


「待て!」


こうやって俺の為に怒ってくれる優しい海。


それだけで俺は十分だった。