「……み」
「…………な」
「…………くれ」
んっ………
誰かの、懐かしい声が聞こえる
「海……」
「ゆ、め……?」
目を開けると、白い天井が目に入った。
それと鼻につく薬品の匂い。
ここは病院なんだと分かる。
「やっと、起きた……先生、呼んでくるね」
アイツが……夢が、俺の名前を呼んでいる。
それが懐かしくて、嬉しくて、どうしようもなく顔が緩む。
夢は病室を出て医者を呼びに行った。
暫くして入ってきた医者さん。
「有川さんやっと起きましたね」
「あの、俺どれくらい寝てました?」
「1週間です」
「まじか」
つか、腹が異常に痛いんだけど……
あ、俺夢を庇って刺されたのか。
あの時、夢を守らなくちゃって自分でも不思議なくらい咄嗟に身体が動いた。
走る体力なんて、残ってないはずだったのに。


