オレとアイツ


海月side



昔の、夢を見た


まだ、アイツが俺の隣に居て、幸せな夢。



『夢(ゆめ)行くぞー!』



『コクリ』


俺はアイツの漢字を文字って"夢(ゆめ)"


アイツは俺を"海(うみ)"


そう呼んでいた。



アイツは無口で無表情で。


周りから誤解されやすかった。


それをいつもフォローするのが俺の役目で。


アイツに出来ない事を俺が

俺に出来ない事をアイツが


そうやって俺たちは生きてきた。



「やーい夢月の腰巾着!」

「ひっつき虫ー!」

「金魚のフンだー!」



学校に行くと、俺の後ろをいつも着いてくる夢をそうやって男子は馬鹿にしてくる。



「夢を悪く言うな!」


「海月が怒ったー!」


「このやろっ!」


「うぎゃー!」


軽くそいつを蹴るとすぐに消える弱いヤツら。


「海…あ、りがと…」


「おぅよ!」



ちょんちょんと俺の服の裾を引っ張ってお礼を言う夢。