でも、分かることはただ一つ。
夢月は両親に捨てられた。
それも多分、夢月が突然消えたって言う6年前に。
「んなっ…!」
ワナワナと震えている海月のお母さん。
「夢月、すまなかった」
頭を下げて夢月に謝る海月のお父さん。
「はっ。今さら謝って何になる?ふざけんな。二度とその面むーちゃんに見せんな。次はねぇからな。覚えとけよクズ」
麗ちゃんは怒ると口が悪くなるらしい。
海月のお父さんはお母さんを連れて病院を出て行った。
これ、さ。海月が知ったらヤバイよな?
なぁ夢月。お前もなんとか言えよ。
なんでこんな酷い事言われてるのに無表情で黙ったままなんだ?
なぁ、お前らしくないぞ?
「むーちゃん……」
「麗、落ち着いて。俺は大丈夫だから」
「でもっあいつら!」
「勝手に言わせとけ。麗があんな奴ら相手にする必要ないから」
「うん……」
納得がいかない麗ちゃんを宥める夢月。
「夢月……」
「あー、ごめんね?変な所見せちゃって。気にしないで?」
俺が声をかけると、いつも通りのゆるい夢月に戻った。
「いや、それよりお前……」
「……アイツには言わないで?なんも知らないし、この先知る必要ないから」
「でも……」
「いいんだ。それで。アイツは何も知らなくて。」
有無を言わせないオーラを放つ夢月。
それ以上俺は何も言えなかった。


